「障害年金」と「障害基礎年金」という言葉を耳にしたことはありますか?どちらも障害を持つ方が経済的な支援を受けるための制度ですが、実はそれぞれに違いがあります。この違いを正しく理解することは、ご自身や大切な人が必要な支援を受けられるようにするために非常に重要です。

障害年金と障害基礎年金、その根本的な違い

障害年金と障害基礎年金の違いについて、まずは基本的な部分から見ていきましょう。簡単に言うと、障害年金は、病気や怪我で障害を負った場合に、その障害の程度や原因、加入している年金制度によって受け取れる年金のことです。そして、障害基礎年金は、この障害年金の一部であり、国民年金に加入している方が対象となるものです。

つまり、障害年金は広い意味での障害に対する年金全体を指し、障害基礎年金はその中でも国民年金加入者向けの基本的な部分を担っている、と考えると分かりやすいでしょう。 この違いを理解することは、ご自身がどちらの制度の対象になるのか、そしてどのような支援が受けられるのかを知る上で、何よりも大切です。

  • 障害年金: 病気や怪我による障害全般に対する年金制度の総称。
  • 障害基礎年金: 障害年金の一種で、国民年金加入者が対象。

障害基礎年金を受け取れるのはどんな人?

障害基礎年金を受け取れるのは、主に以下のような条件を満たす方々です。まず、病気や怪我によって、定められた障害等級のいずれかに該当する状態になったことが必要です。この障害等級は、日常生活や仕事にどの程度支障が出ているかを判断する基準となります。

次に、障害の原因となった病気や怪我の初診日(初めて医療機関を受診した日)に、国民年金に加入していた、あるいは国民年金の保険料を一定期間納めている必要があります。ただし、20歳未満で障害を負った場合は、初診日の要件はありません。

  1. 障害等級の認定: 身体または精神に一定以上の障害があること。
  2. 保険料納付要件: 初診日において、国民年金の被保険者期間のうち、3分の2以上保険料を納めているか、または初診日時点で65歳未満であり、かつ、初診日以前の被保険者期間のうち、3分の1以上保険料を納めていること(ただし、初診日時点で65歳未満で、かつ、国民年金加入期間がない場合は、この限りではありません)。

障害厚生年金との違いは?

障害年金には、障害基礎年金以外にも「障害厚生年金」というものがあります。これは、厚生年金保険に加入している方が対象となる障害年金です。障害厚生年金は、障害基礎年金に上乗せされる形で支給されるのが特徴です。

具体的には、障害厚生年金には、障害の程度に応じた年金に加えて、配偶者や子がいる場合には加算金がつくことがあります。また、障害等級に該当しない場合でも、一定の障害が残った場合には、一時金として支給される「障害手当金」もあります。この点も、障害基礎年金との大きな違いと言えるでしょう。

年金の種類 加入対象 特徴
障害基礎年金 国民年金加入者 老齢基礎年金と同じ基礎部分
障害厚生年金 厚生年金保険加入者 障害基礎年金に上乗せ、配偶者・子加算あり

障害等級の判定基準

障害年金や障害基礎年金を受け取るためには、障害の程度が「障害等級」に該当する必要があります。この障害等級は、日本年金機構が定める「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」に基づいて判定されます。これは、身体の機能や精神の障害の程度を細かく分類した基準であり、障害の種類や部位によって具体的な基準が定められています。

例えば、視力障害であれば、両眼の視力や視野の範囲など、聴力障害であれば、両耳の聴力レベルなどが評価の対象となります。精神障害や知的障害についても、日常生活能力や社会生活能力の制限の程度が評価されます。 この認定基準は非常に詳細で、専門的な知識が必要となる場合もあります。

  • 身体障害:肢体、視覚、聴覚、言語、内部機能などの障害
  • 精神障害:統合失調症、うつ病、てんかん、発達障害など
  • 知的障害
  • 難病など

申請手続きと必要書類

障害年金や障害基礎年金の申請は、ご自身で行うことも可能ですが、初めての方や複雑に感じる方にとっては、専門家(社会保険労務士など)に相談することも有効な手段です。申請には、戸籍謄本や住民票、所得証明書、障害の診断書、受診状況等証明書など、様々な書類が必要となります。

特に、障害の程度を証明する診断書は、医師との十分なコミュニケーションを取り、正確に記載してもらうことが重要です。また、年金手帳や印鑑なども必要になります。申請先は、お住まいの市区町村の役所や、年金事務所となります。

  1. 申請書類の入手: 年金事務所や市区町村の窓口、または日本年金機構のウェブサイトからダウンロード。
  2. 医師の診断書: 障害の程度を証明する最も重要な書類。
  3. その他必要書類: 戸籍謄本、住民票、所得証明書、受診状況等証明書など。

年金額の計算方法

障害基礎年金の年金額は、障害等級と、子の人数によって決まります。障害等級は1級と2級があり、1級の方がより重い障害と判断され、年金額も高くなります。また、18歳未満の子(または20歳未満で障害年金の受給資格がある子)がいる場合には、加算金が支給されます。

具体的には、2023年度(令和5年度)の障害基礎年金の年金額は、1級で月額約81,600円、2級で月額約65,280円です。これに、子がいる場合の加算金が加わります。障害厚生年金が加わる場合は、さらに計算方法が複雑になります。

障害等級 年金額(2023年度)
1級 月額 81,600円
2級 月額 65,280円

障害年金と障害基礎年金、どちらが優先される?

障害年金と障害基礎年金の違いとして、どちらが優先されるかという点も気になるところです。実は、障害基礎年金は、障害年金という大きな枠組みの中の「基礎」となる部分です。そのため、厚生年金に加入している方が障害を負った場合、まず障害基礎年金の受給資格があれば、その分が支給されます。

そして、その上に障害厚生年金が上乗せされる形で支給されることになります。つまり、障害基礎年金と障害厚生年金は、重複して受給されるのではなく、合算されて年金額が計算される、と理解すると良いでしょう。 これにより、より手厚い経済的支援を受けることができるようになっています。

更新手続きと障害等級の変更

障害年金や障害基礎年金は、一度受給が決定しても、障害の状態によっては定期的な更新手続きが必要になることがあります。特に、まだ症状が固定していない場合や、将来的に改善の見込みがあると考えられる場合には、一定期間ごとに障害等級の審査が行われます。

この更新手続きで、障害等級が重くなったり軽くなったり、あるいは等級に該当しなくなったりすることもあります。もし、障害の程度が重くなったと感じる場合は、事前に等級変更の申請をすることも可能です。 ご自身の障害の状態を正確に把握し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが大切です。

障害年金と障害基礎年金の違いについて、ご理解いただけたでしょうか。どちらの制度も、障害を負った方々の生活を支えるための大切な仕組みです。もし、ご自身や身近な方が該当する可能性がある場合は、まずは正確な情報を集め、必要であれば専門家にご相談されることをお勧めします。

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